第8章

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 付き合って、などという台詞から始まる恋愛をこの年にしてするとは思わなかった。けれど逐一段階を踏み、中学生のように距離を詰めてきた自分たちにはお似合いな気もした。 「……うん。俺も宗佑が好きだ」  表情を綻ばせると、宗佑が腕を伸ばしてきた。すっぽりと体を包まれる。触れ合った箇所から宗佑の温度が伝わってくる。再びこうして抱き合えることが幸せで、基輝はひっそりと安堵の息を漏らした。 「あのさ。触りたいから基輝さんに会おうとしてるわけじゃないってさっき言ったくせに、申し訳ないんだけど。やっぱり触っていい? この間は基輝さんに苦しい思いをさせたから、今度はちゃんと優しくしたい」  耳許で宗佑が囁く。嫌なんて答えるはずがないのに宗佑は不安げだった。少し体を離し、 「それともまた段階踏む?」  と神妙な面持ちで尋ねるので笑ってしまう。 「いいよ、踏まなくて。俺だって宗佑に触って欲しい」  基輝としてはこれ以上ないほど素直な返答をしたつもりなのに、なぜか宗佑は参ったとばかりに額に手を当て、天を仰いだ。 「なんでそんな俺を煽るのが上手いの」  長い溜め息のあとにこちらに向けられた目には、すでに熱が灯っていた。首の後ろに手を回され、軽く力を入れて引き寄せられる。流れに従って顔を寄せ、基輝は目を伏せた。唇に柔らかな感触が重なる。初めてキスをしたときはひどく緊張していた。二度目にしたときは失うのが怖かった。今はただ心地良い。  軽く触れ合わせるだけではすぐに足りなくなり、唇を開いて互いに求め合った。基輝が濡れた息を漏らすと、宗佑はより深くまで入り込んでくる。唇が離れた頃には、基輝の体は期待で火照り始めていた。 「おいで」  先に腰を上げた宗佑に誘導され、二人でベッドの上に移動する。体重をかけられ、宗佑の意のまま基輝は仰向けに寝転んだ。基輝の太股を跨ぐように膝を突き、宗佑がこちらに手を伸ばしてくる。首からネクタイを引き抜き、シャツのボタンを一つずつ外していく。基輝が身に纏っているものが少しずつ剥がれていく様を凝視され、居たたまれなくなる。
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