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「あぁ、綺麗ね。あなたはとても綺麗」
小さい頃からそう言われて育ってきた。
竹林の中の小さな家から生まれたこの子もきっとそうやって育てられるのだろう。
眠っている横顔。
長い睫毛、まあるくて赤いほっぺた、白い肌、真っ黒の長い長い髪。
あなたを育てた時間はたったの3ヶ月のようにも感じられるわ。
あなたを誘拐したのはあの月の綺麗な晩。
まだ生まれて間もないあなたを私は誘拐した。
あなたと私は瓜二つ。
たったの6歳違い。
私はあなたの姉を演じた。
あなたはそれを疑うこともなく信じた。
「私は小夜。
輝夜の姉。」
「私は輝夜。
小夜ちゃんの妹。」
って、小さい頃は二人で笑いながら何度も言ったわね。
懐かしい
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