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「星崎さん、、鹿児島出身なんですね。私もなんです」
ドキドキしながらも切り出してみた。
「え!まぢっすか!鹿児島のどこ?」
星崎がニコニコしながら聞く。
私はどんな顔をしたらいいのか分からない。
「伊集院です」
「えー、割と近いっすよ。僕市内なんです」
そっか。市内か。
「いやぁ、偶然ですね。鹿児島出身の人がいると嬉しいわー」
「星崎さん、ぜんぜん鹿児島弁出ないですね」
「僕、鹿児島の高校中退して途中から東京の高校に入りなおしたんです。だから、東京で暮らしてるほうが長くなったかも。鹿児島帰ると方言出ますよ」
「あ、私も。びんた(頭)とか、へがふっちょる(灰が降ってる)とか」
私が鹿児島弁で話すと、星崎は嬉しそうに「そうそう!」と笑った。
私もつられて笑った。
もう少し一緒にいたい。
もう少し一緒にいて、夢のことを話してみたい。
夢のことを話してどうするの?
星崎に何の関係もない。
そろそろ帰らないといけないし。
でも、もうあと何回かしか会えない。
電車は遅延もせず、無情に大手町に着いた。
「じゃあ、彩さんまたオフィスで。お疲れ様っしたー」
星崎が電車を降りた。
あと少し、一緒にいたかった。
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