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新丸ビルの深夜まで営業しているレストランに入った。
派手な装飾品で飾られた店内は、照明が落とされ、程よく落ち着ける雰囲気を作り出していた。
ウィスキーロックとチンザノ。
この1杯分だけの時間だと思うと、なかなか口をつける気になれない。
「すみません。付き合ってもらっちゃって」
「いいですよ。俺ももう少し飲みたかったし。彩さんとゆっくり飲めるのこともあんまりないし」
もう、会えなくなる・・・
「あれ、そういえば星崎さんの名前ってなんでしたっけ?りゅう?」
「隆一」
「あ、西郷隆盛の『隆』を取って隆一でしょう?」
「そうそう。鹿児島人のあるあるね」
他愛のない会話。
「年末帰りました?」
「いやぁ、修論に終われてて今年は帰れませんでした。彩さんは?」
「私も、今年はどこにも行かないで寝正月でしたよ」
「おせちとか作るんですか?」
「いやぁ、全然。作れないから買ってきたものでごまかします」
「彩さん、料理上手そう」
「どうかなぁ~」
あぁ、
時間よ、止まれ。
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