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それでも、何かと口実を作り、星崎と会う日を作った。
罪悪感が全く無いわけではなかったが、それよりも彼と会える喜びの方が大きかった。
一度、土曜日にルカを保育園に預けていた際に、ルカが鉄棒から落ちて唇を縫う大怪我をしたことがあった。
その時私は仕事があると嘘をついて、星崎と会っていた。
ホテルで星崎と抱き合っている真っ最中に電話が鳴り、「お子さんが怪我をしたので急いで来てください」と言われ、青くなりながら保育園に迎えにいった。
保育園の先生は監督不行を何度も侘び、主人は熟睡していて電話があったことも気づいていなかった。
星崎も子どものうちの怪我はつきものだから、仕方ないとなぐさめてくれた。
それよりも痕に残るような大怪我でなかったことを喜ぼう、と言ってくれた。
そして、申し訳なさそうに「今日誘ってごめんね」と言った。
星崎のせいではないし、誰のせいでもない。
子どもなら誰でも経験する、スケールの小さい不幸な事故。
ただ一人、断罪を受けるべきはこの私だ。
ルカを預けていなければ、星崎と会っていなければ・・・。
それが分かっていても、このことが原因で星崎と別れるという選択肢はなかった。
その日は、ルカを抱きしめて二度と怖い思いをしないように祈りながら眠った。
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