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「いやぁ、僕はいません」
星崎が苦笑いを浮かべる。
私は部長の興味が私から反れたことにホッとし、星崎へ注意を向ける。
「星崎さんは今何歳ですか?」
「僕、31歳です」
「あ、じゃあ大学卒業してからストレートで院生になったんじゃないんですね」
「卒業してから7年くらいはシステム関係の会社で働いていました。そこが、まぁ、いわゆるブラック企業で。いつか起業したいと思っていたのもあって、ビジネススクールに行こうと思って辞めて、また学生してるってわけです」
「もう卒業なんだっけ?」
大野さんが尋ねる。
「はい。修論が終われば、ですね。単位はほとんど取り終わったので、時間がある時はこうやって業務委託で仕事をもらって、なんとか食いつないでます」
「K大、高そうだもんね~。学費いくらよ?」
部長はビール3杯目に突入した。
「高いっす。一年で200万とかかかりますよ」
「おお~、まぢでか。学費どうしてんの?学生ローン?」
「そうです。めちゃくちゃ借金してますよ、僕」
「まぁ、借金してでもMBA取れたら良いよなぁ~」
大野さんがビールを飲み干す。
星崎のビールも空になった。皆ペースが速い。
私もぐいっとビールを飲み干した。
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