第1章

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スマホで地図を見ながら現在位置を確認する。そんなに自宅から遠くもない。 良かった、歩いて帰れる。 スマホを仕舞い、少し歩いて、少し距離が開いて、 何となく彼の方を振り向いてみた。 さっき別れた場所から一歩も動かず、遠くを見つめている。 助けてもらった事もあり、なんか気になってしまう。 「あの・・・、ホテルの場所分からないんですか?」 なんだか、無視するのも可哀そうで、自ら危険な選択肢をしてしまった。 「場所・・・。ココは、ドコの国ですか?」 「え、日本ですけど」 「ニッポン?!!」 「は、ハイ、にっぽんですよ?」 (急にテンション上がったけど、この人、日本好き?オタク?) よくテレビで見る、日本大好き外国人の姿が頭に浮かんだ。 「・・・・・・あー」 「・・・どうしました?」 彼は途端に表情を曇らせた。 「・・・思い出せないんです」 「え?」 「わからないんです。ナニも・・・」 (記憶喪失?!!) 「なまえ、も、わかりませんか?」 「・・・・・・ハイ」 可奈はカバンをがちゃがちゃ漁り、スマホを取り出した。 「もしもし、外国の方の様なんですが、記憶喪失みたいで・・・っ、アッ」
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