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スマホで地図を見ながら現在位置を確認する。そんなに自宅から遠くもない。
良かった、歩いて帰れる。
スマホを仕舞い、少し歩いて、少し距離が開いて、
何となく彼の方を振り向いてみた。
さっき別れた場所から一歩も動かず、遠くを見つめている。
助けてもらった事もあり、なんか気になってしまう。
「あの・・・、ホテルの場所分からないんですか?」
なんだか、無視するのも可哀そうで、自ら危険な選択肢をしてしまった。
「場所・・・。ココは、ドコの国ですか?」
「え、日本ですけど」
「ニッポン?!!」
「は、ハイ、にっぽんですよ?」
(急にテンション上がったけど、この人、日本好き?オタク?)
よくテレビで見る、日本大好き外国人の姿が頭に浮かんだ。
「・・・・・・あー」
「・・・どうしました?」
彼は途端に表情を曇らせた。
「・・・思い出せないんです」
「え?」
「わからないんです。ナニも・・・」
(記憶喪失?!!)
「なまえ、も、わかりませんか?」
「・・・・・・ハイ」
可奈はカバンをがちゃがちゃ漁り、スマホを取り出した。
「もしもし、外国の方の様なんですが、記憶喪失みたいで・・・っ、アッ」
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