182人が本棚に入れています
本棚に追加
指先の温もりが掠めたと認識した時には、スマホを奪われ、電源を切られてしまっていた。
「ケーサツには知らせないでっ・・・」
青年はスマホを握りしめ、泣き出しそうなカオで懇願してきた。
さっきもパトカーが来たのを見て、逃げ出すみたいに自分を抱えて走り去った事が思い出される。
なにも無くても、出来れば警察のお世話にはなりたくない。
ひったくりの被害者である側でも、警察の事情聴取が億劫と思うのだから。
自分が誰かも解らず、帰る場所も解らない人物を、しかも恩人を異国の地でほったらかすのは気が引ける。
(いや、でも、このヒト物凄く強いみたいだし、放置しても・・・)
先ほどのひったくりを数秒でのしたシーンが再生される。
(まさか、反社会的な?!!とか、いやいやあんだけ腕っぷしが強いと、もっと上の・・・。国際的犯罪組織の幹部とか)
再び危機的意識が芽を出した。
こんなにイケメンならモデルでも十分やっていけるのに、なんでもっとラクな道を選ばないんだ!!と変な同情心が噴出する。
見れば見るほど、美男子だと思い知らされる。
男性だけど、女性と言っても遜色ないくらい美人だ。
最初のコメントを投稿しよう!