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「あっ、血が・・・っ!!」
白く長い腕には赤く腫れ、擦り傷や切り傷がある。
「まさか、さっきの?」
悪寒に似た感覚に、心が青ざめていく。
「チガウと思います。さっきナイフには触れなかったから」
(どうしよう、怪我してるから病院行った方が。でも、病院行ったら警察に知らされちゃうし・・・)
助けてもらった恩を仇で返す気がしてしまう。
このときの判断は彼氏と別れて餓えていた、と言うのが頼りない免罪符である。
「じゃあ、ウチに来ませんか?」
* * *
「狭いですけど、どうぞ」
「オジャマします」
やっぱり、性急過ぎたかもしれない。赤茶色の洒落た外観の建物が見えて来た時に、今更ながら、そんな事を後悔していた。
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