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長い体躯を屈めて青年は玄関ドアを潜った。
「あっ、靴は脱いでーーー・・・」
ハッと振り向きつつ言いかけるが、既に青年は脱いだ靴を揃えて端に寄せていた。
(あのバカとはエライ違い・・・)
「ただいまー・・・って言ってもだれもいないけど」
感心しながら、向き直り、虚しく帰宅の挨拶をする。
「お帰りなさい」
背後からの、やわらかい男性の声に思わず振り向くと、青年が柔和な笑みを返してきた。
顔から熱が噴き出すのがアリアリと分かって恥ずかしい。
「・・・た ただいま」
ふたり横に並べば、身動き取れないキッチンとシャワールームに挟まれたスペース。
ひとりならば気にしないが、鈴蘭香る青年によって、この部屋の狭さを痛感していまう。冷たい筈のいつもの部屋が温かく感じて、
「カナ、さんは、ずっとココに住んでるんですか?」
「んぇあッ、うん。大学通ってる頃からね。職場にも近いし、家賃ソコソコでシャワーとトイレ別だし」
築年数も新しいし、オートロック。
・・・初対面の男を連れ込んでて、防犯もへったくれも無いが。
「ちょっと奥で待ってて。ここだと狭いし」
パチンと、電気を点けて、奥の部屋へと彼を誘導する。
「ハイ、シツレイします」
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