第1章

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「んぐぅッ」 口を塞がれ、床に押さえつけられた。 (やっぱり、あの人マフィア―――!!?わたし、どっかに売り飛ばされるとかァ?!! どっからどう見たって、その辺にうじゃうじゃいる、ただの日本国民なのに!!) (警察はナニしてんのよぉ!!) ・・・いや、そのケーサツを呼ばなかったのは自分だ。 やっぱり今日は人生最低最悪の日だ。慣れない仏心なんか出してバカ過ぎる。 パチンと、一気に部屋が明るくなった。 暗闇の中に居たから目が慣れず、眩しくて目を瞑った。 「カナサンッ?!」 驚きを含んだ、彼の声が耳に飛び込んで来た。 (って事は、あの人の仕業じゃ、ない?) そんな事が頭に浮かんだ瞬間、呻き声が聞こえたと思ったら、躰が宙に持ち上げられ、仄かな鈴蘭の香りに包まれた。
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