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一般社会人の足らない知識で考え得ると、その答えくらいしか出てこない。
全員ガタイがいいが、その中にひと際、厳つそうな男が居る。
ガラスのテーブルはひっくり返され、ソファも横転した車みたいになっている。
「きゃぁッ!!」横から謎集団のひとりに髪を引っ張られる。
『Руки покинуть ее!(彼女に手を出すな!!)』
彼の怒号と共に強い力で胸板へと引き戻された。謎の集団に困惑の色が浮かんだ。
高く軽い金属音がしたと思うと、カプセルみたいな物が、ガラステーブルにぶつかり、落下した。
また高い、今度は詰まったような音がした。
白い煙がカプセルから噴射する。
「ウッ!!」咽る!!目がイタイ!!
「息を止めて!!」
頭上からの切羽詰まった声が、耳に入るや否や、
ぎゅっと一瞬にして力強い腕に頭を胸へと埋めさせられる。
『Geho!, geho!!! черт! то, что они уже обязаны выяснить, пришли!
(げほっ、げほっ!!くそっ!!奴らもう嗅ぎつけて来たのか!!)』
謎の集団も自らの袖で口と鼻を塞ぎ、咳き込んだ。
焼ける染みる煙に視界が白む。
(一体なにがなんなの?)
結局今日は人生最大の最低最悪の日なのか?
状況に付いていけず、置き去りの脳みその角で、そんな考えを浮かばせながら、意識が遠のいていった。
鼻腔に僅かに感じる鈴蘭の香りを吸い込みながら。
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