第2章

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息をすると、射光を乗せた朝靄が裾を引く、森のような匂いが胸に入り込んできた。 ごろりと身体を横に向けると、ぬくいふんわりした感触に包み込まれる。 (ふぇ~、気持ちいい~) ほろ酔い加減みたいな心地よさ。 コンビニの肉まんの上で寝たらこんな感じかも・・・。 (まさにふっかふかの・・・、なんとも言えない~・・・。こたえられん~・・・) 冬の布団から出たくないのと同じ。 寒い時季、 “急激に布団から起き上がるとよろしくない” を口実に、もう一度微睡へと押し戻そうとしてしまう。 ひとりでに瞼が持ち上がり―――・・・。 「ん・・・・・・?」 気が付くと、ベッドの上。 (どこ、ここ?) 意識が浮上し、可奈は上半身を起こした。 持ち上がった掛け布団から、体温を含んだ空気が動いて、森の様な匂いは数秒で霧散した。 とりあえずは、どこかの部屋みたいだ。 窓は無く、今、自分が乗っかっているベッド以外には、エアコンのリモコンが置かれた飾 り気の無い木製テーブルと椅子があるだけだ。 広さもせいぜい4~6畳といったところか。数歩歩けば、直ぐにドアへと辿り着く。
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