第2章

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(ホテル? てか、わたし、なんで、こんなトコに居るの?) 何があったのか、まだぼーっとしている脳みその中を手探りする。 (イケメンさんをお持ち帰りして、シャワーを貸してたら、変な人たちがーーー・・・) 脳内映像にばっと浮かんだのは、色白の筋肉質の裸体だった。 カーッと顔や背中が熱くなり同時に、ゆっくりだった心臓もドクドクと熱血を循環させる。思い出して見とれてしまうくらい、いい躰していた。 ムキムキ過ぎず、でも、しっかり筋肉ついてて。あれなら、ひったくりなんか大したことないのも納得だ。 …なのに鈴蘭みたいなスッとした匂いがする肌。 (ああ、あの人、催涙弾みたいなのから、わたしを庇ってくれたんだ) 身体を抱え込んできた逞しい両腕で、白い素肌に覆い隠されて、厚く固い胸板に、ぎゅっと顔が押し付けられた。 くっついてしまった唇を指で確かめると、じわりと、熱が染み出してきそうだった。 起き上がったばかりの鼓動は激しく高鳴った。 と、そこまで思い出して、記憶の再生が止まる。 背中に冷水を一滴落とされたみたいになり、途端に大きく心臓がどくん、と一度跳ね上がり胸がざわついた。 一気に胸騒ぎがした。 (あの人は、どうなったんだろう?) 掛け布団をどかして、両脚を降ろすと、ルームシューズが目に入った。 本当に、何歩か歩みを進めて辿り着いた扉の前。簡素で、ごく普通のドア。 でも、どこなのか分からないせいで、どきどきと強張った鼓動がうるさい。 ごくりと生唾を呑み込み、固い金属感触のドアノブを回した。 「!!」 心臓が止まるかと思った。目の前には、黒スーツを身にまとった大男が立っていた。 物凄い威圧感。顔も厳つい。こっちを見下ろしている。 その後ろには、さっきアパートの部屋に突入して来た黒スーツに黒メガネの男が立っていた。 この状況で頭に浮かぶのは、最悪の結果しかない。 懐から取り出された黒い武器で撃たれて、そのまま海か山に捨てられる。 そんな海外ドラマな展開が走馬燈になって行った。 先頭の厳つい男は冷たい視線を、可奈へと向けて来る。 目を逸らしたら不味いと反射的に思い、必死で睨み返した。
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