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ドンッ!
「くっそぉ~・・・」
ビールの大ジョッキを一気飲みし、テーブルに叩き置いた。
松浦可奈は、色々な意味で今日は最悪だ。
演歌のBGMが妙に涙腺を突き刺してくる。
周りは自分よりも、年上のサラリーマン客が占めていて、
ガヤガヤとした、独特の煩さのある店内で、明らかに年下の可奈は浮いていた。
年相応、というなら同じ居酒屋でも、もっと洒落た所を選んでもいいだろう。
この辺りは歓楽街。落ち着いたバーもいくらだってある。
しかし、今日は、恰好を気にせず大量にアルコールを喰らえる場所が良かったのだ。
入店20分。既に大ジョッキ7杯を飲み干し、他にもレモンチューハイ、芋焼酎etc…。
何を何杯飲んだのかすら覚えてない程、空のジョッキや瓶が二人掛けのテーブルに転がっている。
「あンのクソ野郎どもがぁあくぁああーーーーーーーッッ!!!!!!!」
アルコールに押し上げられた激情が口から飛び出た。
雄叫びを上げて、傷だらけの木製テーブルに突っ伏した。
熱い頬に、摩耗した筋がぬむるまったく当たる。
いくら飲んだって気が収まらない、気が晴れない。
遠巻きに見るおじさんたちの視線にも気づかないくらい、頭はアルコールで満タンになっていた。そのせいで余計に深く刻み込まれてしまう。
「うわー、ほんとかよぉ」
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