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「信じられるか!この国の人間の80%が貧困世帯だという事実を!信じられるか!自ら仕掛けた戦争で、年間にして10万人以上の人が亡くなっている事実を!信じられるか!多くの乳飲み子が、成人へと成長するまでに亡くなっていく、この事実を!この国は実に愚かで、実に嘆かわしい!この国は、腐っている!」
「……いいのか、あんた。それを国の牢屋で声高らかに言って。兵士が飛んできても知らねえぜ」
「構わんさ。むしろ聞かせているぐらいだからね」
「ぐわっっ!!」
入口付近の方で、呻き声が聞こえた。
そちらを見やると同時に、入口付近を見張っていたはずの兵士が、オレらの檻の前に吹っ飛んできた。
「……おっさん。本当に飛んできたぜ」
「仕事熱心な輩もいたものだな」
「何をくだらない事言ってんのよっっ!!」
声と同時に現れたのは、先ほどオレを見捨てた年増だった。と判別すると同時に頭にガンッと強い衝撃。
「ミレンよ。次からはそう呼びなさい」
「お、おま……!いつの間に扉を……!」
「質問はあと!いいから逃げるわよ!」
何やら慌てている年……ミレン。事情はさっばり分からんが、逃げれるなら逃げよう。
「おっさん。オレは逃げるけど、あんたはどうする?」
「……もう少し、情勢を見てからにするよ。それからでも遅くはないだろう」
「そうか」
「早く!警備の奴らがイヤになるくらい来る前に!」
急かすミレンにおとなしく従い、オレは脱走した。
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