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脱走してしばらく走り、どこかの町の一角でようやく少し落ち着けた。
「はぁ~……やっと落ち着けるわ」
「王宮への旅路やら厚待遇で、さぞかしゆったりしてるもんだと思ったが?」
「ア、アナタ根に持ってるの?アレは仕方ないじゃない!アナタが変な事言うから、不審者扱いだったし……」
「何もない空から落ちてきてる時点で、充分不審者だったがな。……ディブトーニ、だったか?この国の名前。お前、何で知ってたんだ?」
「あの時、急に頭の中に知識が入ってきたのよ。アナタには何も知識が来なかったの?」
「何も」
「……あの女神、ちゃんと仕事してるのかしら。まあ逃げてる最中だからまとめるけど、この国っていうか世界は、私達の世界でいうファンタジーとほぼ同一よ。ただ、戦争が頻発してるみたい」
「ふーん。……で、何でお前、王宮から逃げてきてんだ?召し抱えられるもんだと思ったが」
「誰が!確かにちょっとカッコいいとは思ったけど、もっとこう優しくて、目の奥が澄んでて、かける言葉一つ一つが愛情に満ちてる……そう、まるでヒサシくんのような……!」
「…………」
「コホン。話を戻すわね」
オレが絶対零度の視線で見つめてると、それに気づいたミレンが修正した。この妄想腐女子が。
「説明しないわよ?」
「分かった。もう考えないから続けてくれ」
だから、何でオレの考えが読めんだよ。
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