291人が本棚に入れています
本棚に追加
「王宮に行って、ちょっと事情を説明して、住民として扱うよう頼むつもりだったのよ。ついでにアンタも助けながら」
「オレはついでかい」
「ま、まあそれはともかく……。で、住民として認められるには魔法が手っ取り早いと思って、頭に入ってきた知識を元に魔法を使ったら……アイツ、豹変し始めて」
「アイツって、あの金髪か」
「そう。何かこれは貴重なものだとかぬかしながら、私を捕まえようとしたの。なんとか逃げ出せたけど……アイツ、かなりヤバいわね」
「オレは会った瞬間から胸くそ悪いやつと思ってたがな。……さて、こっからどうする?」
「アニメ観る」
「テレビどこにあんだよ」
「お風呂入る」
「風呂どこにあんだよ」
「……アンタ、本っ当に使えないわね!お姉ちゃんの為に一肌脱ぐとかしない訳!?」
「何故オレがそんなことをせねばならん。そもそも用意できんし」
「……アンタねぇ……!」
ミレンの怒りのボルテージが高まった、その時だった。
「きゃっ」
「うぉっ」
どこからか手が伸びたかと思うと、オレらは何者かに路地裏へと連れていかれた。
「おいっ!あの二人、いたか!?」
「いや、見当たらない。他を探すぞ!」
バタバタバタと兵隊らしき団体が駆けていく。
「……ふぅ。何とかなったみたいです」
その光景を見て女……いや、少女が、ホッと安堵のため息をついた。
「大丈夫ですか、お二人とも?」
心配そうに声をかけるこの少女を見て、オレは直感的に感じた。
「……結婚してくださっ!!」
殴られた。隣の年……ミレンに。
最初のコメントを投稿しよう!