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とりあえず落ち着ける所を、という事でハルちゃんの家に案内されたオレたち。
「おぉ……!ここがハルちゃんのお家……!」
クンカクンカと匂いを嗅ぐのに必死なオレを、ミレンは掃き溜めに捨てられた汚物を見るかのような目で見た後、真面目な表情に一転させ、ハルちゃんに向き直る。
「話を聞くわね。世界を救ってほしいってどういう事?そもそも、なんでアタシたちに?」
「私は占術師だと、先ほどお話しましたよね。この水晶を通して未来を見た時、別次元の彼方から、空より二人の方が舞い降りるのを見たんです。そしてこのお二方が、世界を救う人だと、水晶は私に告げました。……それが、あなた方なのです」
「空より舞い降りる……まあ大幅には間違ってないな」
「いや、間違ってるでしょ。アタシたち、舞い降りたんじゃなくて、落下してきたのよ?」
「?」
キョトンとするハルちゃん。はあ、マジ天使。
「ハル。あのね、確かにアタシたちは、いわゆる別次元から来たわ。でも、世界を救うなんて大それた事はできないわ。できるのは精々、魔法くらいで」
「その魔法が、世界を救う可能性の証なのです!」
「え……?それって、どういう……」
「この世界では、魔法を扱う事のできる人間は、ほんの一握りです。……私の祖父の時代にはたくさんいましたが、頻発して起きた戦争において、魔法を扱える人間は戦線に立たされ、多くの人が亡くなりました。伝承方法が確立されていなかった事も災いし、この国には魔法を扱える一般人はいません」
「「…………」」
ハルちゃんの言葉に絶句するオレら。ハルちゃんにちょいタンマと言い、ミレンと緊急会議。
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