291人が本棚に入れています
本棚に追加
「おい。この国、魔法が使えるって設定じゃなかったのか?」
「アタシもそう聞いたわよ」
「なんだオイ、どうなってんだ?……まさかあの痴神、大ボラ吹いたのか?」
「……だからあの金髪イケメン、態度を変えたのね。アタシが魔法を使ったから。上手くおだてて、戦線に立たせる気だったんだわ」
「?」
オレ達の密談に、再び疑問符を浮かべるハルちゃん。そう、これだよこれ!幼い少女故の無垢さ!年増にはない魅力だ!
「…………」
再びミレンが、蔑んだ目でオレを見る。が、年増にそう見られても何とも思わんな。
「……ハル。本当なのよね?魔法が使える人がいないっていうのは」
「はい……。仮にいても、軍に召し上げられているでしょう」
ハルちゃんの言葉に、深い深いため息をついた後、ミレンが再び話を始める。
「あのね、ハル。アタシたちに、世界を救うなんて大それた事はできないわ」
「……。そう、ですよね。……すみません、こんなこと」
「でも」
ハルちゃんの言葉を遮り、ミレンはオレに決して見せないだろう笑顔でこう言った。
「世界じゃなくて、友達を助けることならできるわ。出来る限りで、だけど」
「ミレンさん……!」
「そうだな。ハルちゃん。オレも出来る限りの協力はさせてもらうよ」
「……ありがとうございます。本当に、ありがとう……!」
涙を拭いきれないほど流すハルちゃん。
よっぽど辛かったんだろう。よほど苦しかったんだろう。でも、もう大丈夫……。
「ハルちゃん、今後一生、責任を持って、オレはキミを必ず守っ!?」
言い切る事なく、ミレンにハイキックをお見舞いされた。
最初のコメントを投稿しよう!