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深い眠りから覚めたような感覚だった。
手足を伸ばし、いつも枕元に置いてる携帯を取ろうとする。が、ない。
渋々起き上がると、横で物音がした。その物音の主は、黒髪を腰まで伸ばした、世間一般で言う可愛い系に入るだろう女だった。年は同じ位だろうか。
彼女も今、目を覚ましたのか、寝ぼけたような様子で周囲を見回す。
周囲はとにかく白。そうとしか言えない配色の部屋だった。そんな空間に首を傾げると同時に、女は言葉を発した。
「アナタ、誰?ここはどこ?」
その問いに、俺はこう返すしかない。
「オレは颯谷。トラックに轢かれかけたのは覚えてんだけどな……。それ以外は分からん」
「アナタも?アタシも轢かれかけたのは覚えてるんだけど……」
「てことはアレか。俺ら死んだのか」
「その通りです」
不意に聞こえてきた声。その方向を見ると、いつの間にか金髪の女がいた。見るからに大人の女で、白い羽衣みたいのを纏っている。
「えっ、どういう……?あ、アナタは……?」
「私は地上を司る神、地神 グランディースです」
「ち、地神……?」
「痴神……?」
「変な誤変換はやめてください。とにかく、あなた方の事情を説明しますね。……あなた方は、ちょっとしたミスにより、死んでしまいました」
神妙な面持ちで言う痴神。……なにやら訳アリっぽいな。
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