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「ちっくしょおお!」
キツい!苦しい!死ぬ!激しい息切れをしているが、それでもやめられない止まらない。捕まったら、また牢屋に……!
「別にいんじゃね?後で助けてくれるだろ、アイツ。いやでも、ハルちゃんの望みを叶えるにはやっぱオレが活躍した方が……?」
と、割と余裕げに考えていた時だった。
「んあ……何事だ?」
「ウンバ様!!」
目の前からゴリラが現れた。ってか99%ゴリラじゃね?って感じのゴリラが。普通のゴリラと違って人間の言葉話してるな。賢いのか、このゴリラ。
「ウンバ様、侵入者です!捕まえてください!」
「侵入者ぁ?……おっ」
ゴリラの目と、走ってるオレの目が合った。そしてゴリラは愉悦の表情を浮かべ、
「や ら な い か ?」
身の毛もよだつ恐怖の一言を言い放った。
「……は?」
走りながらも困惑するオレ。ゴリラはそんなオレを見て、嬉しそうにコートを脱ぎ始めた。
「ぬおおぉぉっっ!!」
即座にスピードアップ!いかん、捕まるわけにはいかん!全世界の幼女のために、オレの貞操のために!オレは純真無垢でいなければならないんだぁっ!
「うほっ。逃がさんぞ、オレの獲物っ」
ゴリラのどっかに火がついたらしく、オレを追っていた兵士に下がるように命じながら、オレを追いかけ始めた。……シームレスに脱衣しながら。
「うぉぉおお!!」
絶対、捕まったら死ぬ(男として)!かくしてここに、オレとゴリラのデッドレースが開始された。
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