人を敬うことは大切なことです

9/10
286人が本棚に入れています
本棚に追加
/1154ページ
逃げ去るゴリラを唖然として見ながら、隻眼の兵士は高圧的な態度を崩す事なく俺に言った。 「きっ、貴様あの時の……!何者だ!ウンバ様に何をした!?」 「別に答える義理はないんだが……オレはフウヤ。諸事情で、この国を救いに来た。あのゴリラは、オレの魔法で心の根幹にあった男の衝動をぶっ壊した。これでヤツはもうホモじゃない。ただのオカマだ」 ざわざわと兵士達が動揺を見せる。 「この国を救うだと……バカバカしい。そんな簡単に救える国ではないわ!」 「ふーん。あ、そ。まあとりあえずアンタ。最初会ったときケンカ売ったよな?借りは返させてもらうぜ……武器崩落」 バキィッと心地良い音を鳴らして、隻眼の兵士の武器が壊れる。あー、気分爽快。 「…………」 兵士達が一様に沈黙する。通るなら今かね。 「んじゃま、オレは用事があるんで行くぜ。……待ってろ、あのくそ年増」 「ま、待て!」 「あん?まだなんか用」 振り返ると、兵士が全員土下座していた。なんだ、何事だ。 「……徴兵されて、はや30年。こんな時を願わなかった事はない。貴殿の実力、決意、しかと見た!その上で頼みたい!我らを……この国を、救ってくれ!」 「イヤだ」 「なっ……!」
/1154ページ

最初のコメントを投稿しよう!