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逃げ去るゴリラを唖然として見ながら、隻眼の兵士は高圧的な態度を崩す事なく俺に言った。
「きっ、貴様あの時の……!何者だ!ウンバ様に何をした!?」
「別に答える義理はないんだが……オレはフウヤ。諸事情で、この国を救いに来た。あのゴリラは、オレの魔法で心の根幹にあった男の衝動をぶっ壊した。これでヤツはもうホモじゃない。ただのオカマだ」
ざわざわと兵士達が動揺を見せる。
「この国を救うだと……バカバカしい。そんな簡単に救える国ではないわ!」
「ふーん。あ、そ。まあとりあえずアンタ。最初会ったときケンカ売ったよな?借りは返させてもらうぜ……武器崩落」
バキィッと心地良い音を鳴らして、隻眼の兵士の武器が壊れる。あー、気分爽快。
「…………」
兵士達が一様に沈黙する。通るなら今かね。
「んじゃま、オレは用事があるんで行くぜ。……待ってろ、あのくそ年増」
「ま、待て!」
「あん?まだなんか用」
振り返ると、兵士が全員土下座していた。なんだ、何事だ。
「……徴兵されて、はや30年。こんな時を願わなかった事はない。貴殿の実力、決意、しかと見た!その上で頼みたい!我らを……この国を、救ってくれ!」
「イヤだ」
「なっ……!」
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