プロローグ: 神様のとんでもないミス

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「はぁっ!?なによそれ!どういう事!?」 「うっかり……本当にうっかりだったんです」 ……うっかり? 「書類整理しながら飲んでたコーヒーを、あなた達の生命を証明している紙に誤ってこぼしてしまって……。ふやけて破れちゃいました。てへっ」 「てへっ、で済ませられる事じゃないでしょうがぁぁ!!」 もっともである。 「で、何でアンタも平然としていられるのよ!!」 女の怒りがオレにまで飛び火してきた。オレ、無関係かつ被害者なのに……。 「いや。別に未練とかないし。死んだならしゃーないかな、と……」 「アホかぁぁ!!」 と言われましても。 「で、ですね。申し訳ないと思っているので、もしあなた達が良ければ、異世界に転生とかどうかなって」 「……いや。生き返りたい。元の世界に、元の身体の、元の年齢のままで」 「……それはできない、です。死んだ者が元の身体で生き返るのは、たとえ神であっても無理です」 「そんなぁ……!アタシ、コイツと違って未練たらたらなのよぉ……!」 座り込み、咽び泣く女。どうでもいいが、オレの呼び方、酷くなってってないか? 「そりゃ、両親はアタシ放置で外国行ってるから別に悲しまないだろうし、兄弟も友達もいない。……けど、アタシは、ヒサシくんの活躍をまだ見ていたいのよぉぉ!!」 「……ヒサシくん?」 「……アニメの、超カッコいい男の子。ようやく、ようやく本編に出てきたのに……あんまりよぉ!!」 未練はアニメか。 「あのー、異世界にも、その子が出てくるアニメはやってますけど……」 「よし、行くわよ」 切り替え早いな。
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