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「……ふむ。主ら、名を名乗れ」
兵士の事情説明を聞いた金髪が、上から目線で尋ねてくる。ちょっと業腹な態度だが、答えないと面倒そうだからな。答えてしんぜよう。
「刈宮颯谷、16歳。生まれは東京なの。きゃはっ」
『…………』
盛大にスベったらしい。純粋にハズい。
「み……ミレン、と申します。生まれはディブトーニです」
ディブトーニっていずこや?
「ふむ、この国生まれか……。詳細を聞きたい。王宮へと案内しよう」
なんだか知らんが王宮へ行けるらしい。やったぜ、腹減ってんだ。
「し、しかし陛下!」
「私の決定に、何か異論でも?」
冷たい声色に冷たい視線。意見を申し出ようとした隻眼の兵士は黙ることを余儀なくされた。うっわー、めっちゃキライなタイプっぽい。
「ところで彼とは知り合いなのか、ミレンとやら。何か妙な事を言っていたが」
「……赤の他人です」
「おいっ!」
今、値踏みするように見て、価値ないと踏んで見捨てにかかったぞこの年増!
「この者を牢屋へと連行せよ。後に処断を決める」
「はっ!!ディゼーニ様!」
この男、ディゼーニってのか……と考えてる間に簀巻きにされるオレ。ふっ……魔法のやり方がちっともダウンロードされないから、捕まるしかないぜ。
「着いてこい、ミレン。歓迎しよう」
「はい、分かりました」
そのまま立ち去る年増とイケメン。年増はすれ違い様にウィンクしてきたが、意図が分からないので、とりあえず目を背けておいた。オレに年増からのウィンクで喜ぶような性癖はない。
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