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#003 移動教室
オリエンテーションだらけの授業がやっと終わって、本格的に始動し始めた学校。
腹が立つくらい真っ青な空を睨みつけると、仕返すように温度が上がる。
ねぇ、まだ4月だよね?
「あっちぃよおうおうおう」
「マナハちゃんーー暑いねぇーー」
移動教室、私はレイカちゃんと生物教室まで歩いている。
「あ、猫」
ゴロゴロと気持ちよさそうに喉を鳴らしながら、猫が日向ぼっこをしている。
「いいよね、なんか猫って」
不思議そうにレイカちゃんが私を見てくる。首を傾げながら。………可愛い。可愛すぎる。余計に眩しいわ!
「自由そうじゃん?」
何も無いように続けると、レイカちゃんはふふっと笑って言った。
「マナハちゃんも、十分自由そうに見えるよ?あっ、悪い意味じゃなくてね!」
「そぉ?」
「うん。私はマナハちゃんが羨ましいんだぁ」
「あたしが?」
「そう、ユタちゃんと仲良くて、2人とも性格とか全然違うのに分かり合えてるっていうか…私にはそんな友達、いないから」
「レイカちゃん、あたしはレイカちゃんと仲良くなりたいよ?」
…あ、待ってキモいこれ、言っちゃった、言っちゃったァァ!!!
恥ずかしい。こんなこと、言うつもりじゃなかったのにぃ~(泣)
「マナハちゃん………私、マナハちゃんが男だったら好きになってたかも」
「ぉぅえっ!」
変な声出た。
酢酸の匂い。
友達作りの春。
風がそよぐ。なんだかとても心をくすぐられてる感じがして、こそばゆかった。
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