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#001 女子高生、始めました。
にゃあーーーー。ごろごろごろ。
にゃ?ニャーーーッッ!!!
「あー!逃げたじゃん!」
「や、私だって撫でただけなんだけど!?」
「思いっきり逃げたよ!!んもー可愛かったのに」
「知らないよ~~」
「動物はやっぱユタに懐かないんだって」
「人間も動物だよ」
「知ってるわ何いきなり」
「いやマナハ私に懐いてるじゃん」
「どっから来てんのその自信」
「ごめん自信しかない」
「ごめん聞いたあたしが馬鹿だったわ」
猫が、逃げた。
犯人はこいつ、夏葉 麻友茶(なつば まゆた)。
マユとかユタとかって呼ばれてる。
一方のあたしは冬中 愛羽(ふゆなか まなは)。
呼び捨てで呼んでくる人がほとんど。
あたしたちは今、絶賛暇つぶし中。
カラオケでも行けたらいいんだけど、あいにく今日は定休日。
学校帰りに寄れるような遊ぶところも他にはないし、あーあ。
「「田舎って不平等!」」
両手を空へ投げ出し、いつもの口癖を叫ぶ。
…ハモりやがった。
「いぇーーっいハモったね、ほら嬉しいでしょ?」
ニヤニヤすんな気持ち悪い。
「ほらほら以心伝心~っ!素直になっちゃいなよ?」
だるい。なんだこの絡みは。
「つんつんしちゃうぞ~?」
「もう!しつこいわ!!」
やたら触ってくるユタを手で払う。
ぱっと目が合う。
超、ブス。変顔。
こいつ、これが狙いか。
なかなか面白い…てか結構、ハマる。
「ふはっ、あっはは!ばかじゃないの?!」
「やーい笑ったわらった!私の勝ち!じゃ、ジュース奢ってねっ」
「は?なにそれ聞いてない!」
「今初めて言ったもん!」
「卑怯だ待てー!!」
結局いつもの追いかけっこ。
これが、私とユタの日常。
田舎の女子高生、やってます。
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