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異変に気が付いたのは、本番四日前。 授業が終わり、文化祭の準備をスタートさせた時だった。 「…いいと思いますよ」 「はぁ!?」 俺は思わず威圧的に聞こえるような声を出してしまう。 …なぜだ?なぜ、何も指示をしない? 鏡花は演出家で、彼女はそのことに自信やプライドを持っている。 なのに、初めてやるシーンで、何も言わないのは…絶対おかしい。 「…鏡花。お前、腹減ってんのか?」 俺は常備しているスティック状のチョコレート菓子、レスキューを差し出す。 しかし、彼女は黙って頭を横に振り、ペン片手に脚本を見つめる。 …何も書かないのに。 「…お前、いつもなら『どうしてそんなに甘ったるいものを食べれるのですか?』って毒舌を吐くのに、なぜ今日は何も言わねーんだよ」 「…別に」 「いや、別にじゃねーだろ!!!」 黙って動かない鏡花を見て、俺はサッと彼女の脚本を奪った。
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