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星が綺麗ですね
俺は、屋上から空を見上げた。
彼女は、真っ白な肌に星を反射させながら、そっと笑った。
「星が綺麗ですね」
彼女の唇から溢れた言葉に、俺は思わずドキッと心を鳴らす。
「計画的な奇跡を起こすのが、私の仕事です。
でも…こんな自然の奇跡も、とても…素敵だなって思ったんです」
ちらりと俺の方を向いた彼女の目は、俺のことを見つめてはいなかった。
ああ、やっぱりな…
彼女は演劇にしか興味がない。
演出家にしか興味がない。
だけど…だけど…
俺は、君に言いたいことがある。
君の目に俺が映らなくても、俺は言いたいことがあるんだ。
「…月が綺麗ですね」
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