第3話  豊穣の森の魔王

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「全く何考えてるんですか、エレナは! あなたのせいで森があんなに荒れちゃったじゃないですか!」 「私が荒らしたのではない、魔獣どものせいだろう」 「エレナが『正々堂々名乗ってから戦うべきだぁ』なんて言って大声出すから、不意打ちができなかったでしょ?! 相手は言葉もわからないんだから名乗ったって意味無いのに!」 「言葉が通じる、通じないは関係無い。不意打ちなど卑怯な真似は騎士道にもとる」 「あの魔獣どもと! エレナの馬鹿力で! 荒れた場所を誰が直すと思って?!」 森の見回りから帰ってくる間中、こいつらはずっと言い争いをしている。 互いに譲らないせいか、堂々巡りを繰り返しているのだ。 それはもうキィキィとうっさいこと。 オレは進展の見せない口喧嘩を、苛立ち半分に聞き流していた。 リタは頼む前からお茶を出してくれた。 エレナもようやく気持ちを切り替えたのか、押し黙って紅茶を飲み始めた。 それを受けてアシュリーは更にヒートアップする。 取っ組み合いでも始まりそうな様相となった。 面倒が起きる前に、オレは一言だけ牽制した。 「アシュリー、静かにしろ」 オレがそう言うと、ピタリと静かになる。     
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