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「全く何考えてるんですか、エレナは! あなたのせいで森があんなに荒れちゃったじゃないですか!」
「私が荒らしたのではない、魔獣どものせいだろう」
「エレナが『正々堂々名乗ってから戦うべきだぁ』なんて言って大声出すから、不意打ちができなかったでしょ?! 相手は言葉もわからないんだから名乗ったって意味無いのに!」
「言葉が通じる、通じないは関係無い。不意打ちなど卑怯な真似は騎士道にもとる」
「あの魔獣どもと! エレナの馬鹿力で! 荒れた場所を誰が直すと思って?!」
森の見回りから帰ってくる間中、こいつらはずっと言い争いをしている。
互いに譲らないせいか、堂々巡りを繰り返しているのだ。
それはもうキィキィとうっさいこと。
オレは進展の見せない口喧嘩を、苛立ち半分に聞き流していた。
リタは頼む前からお茶を出してくれた。
エレナもようやく気持ちを切り替えたのか、押し黙って紅茶を飲み始めた。
それを受けてアシュリーは更にヒートアップする。
取っ組み合いでも始まりそうな様相となった。
面倒が起きる前に、オレは一言だけ牽制した。
「アシュリー、静かにしろ」
オレがそう言うと、ピタリと静かになる。
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