第5話  ほんわかとした戦闘

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第5話  ほんわかとした戦闘

「はい、君たちねー、とっとと家に帰ってねー」 相変わらずやる気の火がつかない魔王様。 ものすごく平坦な口調で皆を脱走させた。 逃げる少女の一団を先導すらせず、マイペースに後ろを歩く僕たち。 階段の辺りは「お家に帰れる!」「押すな、危ないだろ!」「もう悪いヤツいないの?」なんて声でちょっと賑やかになっている。 まだ敵がいるかもしれないんだから、静かにした方がいいとは思う。 だけど魔王様もエレナさんも何も言わないので、僕も口をつぐんだ。 そんな中、魔王様の興味は違うところへ向いている。 詰め所のテーブルの上を物色するなり、豆をむんずと掴んだ。 こんな場面にも関わらず、お腹でも空いたんだろうか。 その感性はちょっと理解できない。 渋滞している階段をノロノロと昇り、いくつかの部屋を抜けると、ようやく出口だ。 あまりのスピード解決に脱力してしまう。 「ありがとう。魔王様、エレナさん。おかげで助かったよ」 「気を抜くな。まだ終わってないぞ」 「えっ?」 エレナさんの言う通りだ。 街でも3本指に入る犯罪集団がそこまで甘いはずがないんだ。 外を見ると、建物の入り口をグルリと囲むようにして30人くらいの男達が道を塞いでいた。     
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