5.アラーム

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シュウは窓の外を振り向いた。 鉄格子に頭を押し付け、列車の進行方向を見る。 列車は緩やかな坂を登りながら、突き出た崖の先に向かって走っている。 山の麓に広がる街が、もう見え始めていた。 深夜ではあるが、街にはまだ思いのほか明かりが灯っている。 懐かしい遠い光。 あの光の下で、まだ起きている人もいるだろう。 明かりを消して、眠っている人もいるだろう。 いずれにしても、あそこには、明日の朝を迎えるたくさんの人たちがいる。 それを考えると、非現実感が胸の内に吹き込んだ。 何が、非現実的なのだろう。 明日の朝を迎えることのできる人たちが、この遊園地の外には、当たり前のように存在していることが、だろうか。 それとも――自分が、今ここでこうしていることが、だろうか。 隣の席で、一つ、溜め息の音がした。 一つ息を吐く間に、この列車はどのくらいの距離を進むのだろう。 どれだけ終点に近づくのだろう。 終点たどり着くまでに、自分たちは、あと何回呼吸ができるのか。 そんなことを考えながら、シュウは隣を見た。
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