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入場ゲートの看板にも、大きな銀色の三日月が描かれていた。
こっちの三日月は、後ろに傾いた揺り椅子のような、よく見る角度の三日月だ。
「ぎんいろ三日月ランド」って、こんな遊園地に似合わない可愛い名前だよな、と、今さらながらにシュウは思った。
立ち止まることもなく、シュウは入場ゲートまでたどり着いた。
ちらちらと周りをうかがってみたが、ほかの人たちも特に立ち止まってはいないようだった。
鞄からチケットを出そうとして、ちょっと足を止める人がいるくらいだ。
ゲートの係員に、シュウは自分のチケットを提示した。
ずしりと重い金属板のチケット。
それを受け取った係員は、専用の機械を使って、チケットから入場券の部分をバチンと切り離す。
入場券が傍らの箱に入れられると、先に入っていた入場券の上にシュウのぶんのそれが落ち、金属の欠片と欠片がぶつかる音が響いた。
入場券を切り離したチケットが、シュウの手に返される。
配布されたチケットは、入場券とアトラクションチケットのセットだったので、残りはアトラクションチケットだけになったわけだ。
これだけでもまだけっこう重いな、と心の中で呟いて、シュウはゲートをくぐり抜けた。
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