2.自殺志願者専用遊園地

8/10

157人が本棚に入れています
本棚に追加
/105ページ
ガイドの声は滑舌が良く、聞き取りやすかった。 いかにも喋り慣れている感じだ。 傾聴する客たちを見渡し、にっこり笑顔を浮かべて、ガイドは続ける。 『……と、いいましても、アトラクションが具体的などんなものであるのかは、皆様ご存じないと思われます。何せ、ここにいる皆様は一人残らず、今日初めてこの遊園地にいらした方ばかりですからね!』 ガイドの言葉に、客たちからどっと笑いが起きた。 シュウも思わず笑った。 そりゃそうだ。この遊園地に客として二回以上来たことのある者なんて、いるわけない。 『まあ、ですから。どのアトラクションに、どのような魅力や特徴があるか。それがわからないことには、自分好みのアトラクションを選びようがないですよね。そこで――』 ガイドは、傍らに置かれていた箱から何やら取り出した。 それを、客たち一人一人に配っていく。 シュウも受け取った。 それは、どうやらこの遊園地のパンフレットのようだった。 『お配りしたパンフレットには、アトラクション一覧と園内マップが載っていますので、このあともお役立てくださいねー。……さて。それでは、皆様。パンフレットを開いて、アトラクション一覧のページをご覧ください』 言われるままに、シュウたちは該当ページを開く。 そこには、ずらりと並ぶアトラクションの写真と、各アトラクションについての概要が記載されていた。
/105ページ

最初のコメントを投稿しよう!

157人が本棚に入れています
本棚に追加