2.自殺志願者専用遊園地

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『えー、まずご注目いただきたいのがですね。アトラクションの概要欄にある、〈安楽度〉〈遊楽度〉〈興奮度〉〈幻想度〉という四つの項目です』 シュウは該当箇所に目を向ける。 四つの項目は色分けされた円で描かれ、円の中に、各項目の上限を100%とした場合のパーセンテージが表記されている。 各アトラクションにつき、パーセンテージが大きい項目ほど大きな円で描かれているようだ。 『〈安楽度〉の高いアトラクションは……心も体も安らかに死に至りたい方に! 〈遊楽度〉の高いアトラクションは……命がけのゲームを楽しんで死に至りたい方に! 〈興奮度〉の高いアトラクションは……思いっきりハイな精神状態で死に至りたい方に! 〈幻想度〉の高いアトラクションは……非現実感に浸って死に至りたい方に!』 ――と、いう感じで。この四項目のパーセンテージをご覧いただければ、各アトラクションについての雰囲気、コンセプトなどがイメージしやすくなっておりますので。ご自身が、四つのうちどの項目を特に重要視して自殺するか……ということをですね。よくお考えになって、参考にしていただければと思います』 話を聞きながら、シュウはうなずく。安楽。遊楽。興奮。幻想。 自分だったら、どの項目に重きを置いて自殺したいだろうか――。 『また、各アトラクションの概要欄には〈致死時間〉という項目もありますね? ……よろしいでしょうか? これは、アトラクションの自殺用ギミックが作動してから死亡に至るまでの時間の目安です。 時間をかけてゆっくりじわじわ死にたい方は、致死時間の長いアトラクションを。 逆に、一瞬であっけなく死にたい方は、致死時間の短いアトラクションを。 ……というように。これも、ご自身の理想の死に方に照らし合わせて、アトラクション選びの参考にご利用ください』 死亡に至るまでの時間の目安。 そんなものまで表記されているなんて、本当に、至れり尽くせりだ。
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