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3.ど・れ・で・し・の・う・か・な
ガイドの説明を聞いたのち、シュウたち一家は、とりあえず園内をぐるりと一周して、パンフレットを見ながら実際のアトラクションの下見をした。
「まだ、あんまりアトラクションに乗ってる人、いないね」
「そりゃあ、みんなじっくり選んでるんでしょ。一つしか乗れないんだから、後悔のないようにしなくちゃね」
妹と母の会話を聞きながら、シュウは、植え込みから覗いている監視カメラがちょっと気になっていた。
ここだけではない。監視カメラは、園内のそこここに設置されているようだ。
シュウが気づいたものだけでも、その数は十台や二十台どころではなかった。
さすがに、これだけたくさんのカメラに見張られているのは、なんとも居心地が悪い。
いったん気になり始めると、どうにも落ち着かない。
――とはいえ、まあ、仕方ないか。
自殺志願者ばっかりが集まる施設なんて、何が起こるかわからないのだから。
ある程度厳重に警戒する必要はあるだろう。そう思って、シュウは納得した。
園内を流れる音楽に混じって、時折、遠くから、近くから、悲鳴が響く。
今の時点でアトラクションを利用している客は「あんまり」いないが、それでも、気の早いやつがいくらかはいるということだ。
悲鳴が上がるくらいだから、〈興奮度〉の高い絶叫系アトラクションに乗っているのだろう。
昔から絶叫マシンの好きな父は、誰かの叫びが聞こえるたびに「おっ」と反応を見せていた。
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