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ほどなくして、ゴンドラのどこかから、スプレーを噴射したときのような音がし始めた。
生ぬるい湿気が、密閉されたゴンドラの中に満ちていく。
シュウはついつい息を止めたが、もちろん長くはもたず、また細く息を吸って、そのあと反動でむしろ胸の奥深くまで、霧の混じった空気を吸い込んだ。においはなかった。
薄目を開けてみた。
ゴンドラの中は、なるほど霧で満たされていた。
が、その霧は、視界が利かなくなるほどのものではなく、想像していたよりも薄い。
天井にある監視カメラの形が見て取れる。
霧がこれ以上濃くなっていく気配もない。
白い霧。
もしかしたら、霧に色が付いていたりしないかな、とか思っていたけれど、そんなことはないのか。
赤い霧とか青い霧とかだったら、ただの白い霧より幻想的だろうに。
どうやらこのアトラクション、目を開けていても、さほど面白いことはないようだ。
窓に付着した霧で、外の景色も見えづらくなったし。
まだ眠気はなかったが、シュウは再び目を閉じた。
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