3.ど・れ・で・し・の・う・か・な

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キィ、と扉の開く音がした。 乾いた外気が肌を撫でた。 「はい、お疲れさま。このゴンドラは〈ハズレ〉でしたー!」 目を開けると、目の前には、死神姿の係員の笑顔があった。 シュウは係員に手を引かれて立ち上がり、ゴンドラから降ろされる。 (……なんだ、これ。どうなってるんだ。なんで、俺は観覧車を降りてるんだ? 自分の足でこの観覧車から降りるなんて、ありえないし、あってはならないことなんじゃ……ないのか?) 混乱するシュウを、観覧車からいくらか引き離して、死神姿の係員は言った。 「あ、ご存じありませんでした? この【ぎんいろ三日月ランド】では、ほとんどのアトラクションにおいて、一定確率で〈ハズレ〉が設定されているんです。最近になって取り入れられた試みなんですがね。――こういう遊び心もなかなか楽しいって、評判いいんですよ!」 係員のその説明に、シュウはうなずく気力もなかった。ただただ、脱力していた。
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