3.ど・れ・で・し・の・う・か・な

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周辺のアトラクションではなく、なぜかこちらをじっと見ている男が、一人いる。 見知らぬ男だった。 年齢は、少なくとも父よりは若そうだ。三十前後か、もう少し上か、くらいだろうか。 無表情とも薄い笑みともつかない顔をして、くたびれたコートのポケットに手を突っ込んで、立っている。 その男は、シュウと目が合っても、おかまいなしにこちらを見続けた。 (なんだろう? あの人。知り合い、じゃないよな? 僕に何か用なのか?) 嫌な気分になって、シュウは軽くその男を睨みつける。 それでも、男は目をそらさない。 (もしかして、僕が、観覧車で〈ハズレ〉を引いたから? それで、めずらしがってるんだろうか? でも、だからって、こんなふうにじろじろ見るなんて……失礼なやつ) シュウは、仕方なく自分から目をそらした。 園内には、まだ一枚のチケットも使っていない客だって多いだろう。 そんな時間帯だから、〈ハズレ〉を引いた客だって、今の時点では確かにめずらしいかもしれない。 だけど、これからいくらだって見られるぞ。 観覧車やほかのアトラクションの確率は知らないが、ロシアンルーレット・ドリンクなんか、十三人飲んだら一人は死なない計算になるんだから――。 男から目をそらしたまま、シュウは心の中でそう呟いた。
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