1.自殺支援制度

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四つの封書に入っていた診断書の文面は、名前の部分以外ぜんぶ同じだった。 つまり、シュウも、父も、母も、妹も。 今年の検査では、家族四人がみんなそろって自殺志願者という結果だったのだ。 こういうことは、わりとよくあるらしい。 診断書を取り出した封筒の中には、まだ何かが入っていた。 ずしりと重たい板状の金属。 封筒を斜めに傾けると、それは重みで滑り出て、あっけなく手の平の上に落ちてきた。 【 ぎんいろ三日月ランド 】 金属板の表面には、そんな文字が彫られていた。 それがなんであるのか、シュウはもちろん知っている。 父も、母も、妹も、当然知っている。 例の遊園地のチケットだ。この目で見るのは初めてだった。 『つきましては、同封のチケットをご持参の上、チケットの使用期限内に、最寄りの「ぎんいろ三日月ランド」までお越しください。』 診断書の続きにはそう書かれていた。 シュウはもう一度チケットに目を落とし、使用期限日を確認する。 そこに彫られている日付けは、今日から一週間後のものだった。 想像してたよりもけっこう短いな、と思った。
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