1.自殺支援制度

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「最寄りのって、ここらへんだと、どこになるの?」 シュウが尋ねると、父が少し考えてから答えた。 「ここからいちばん近い『ぎんいろ三日月ランド』なら、確か、県内にあったはずだよ。車で二時間くらいじゃないかな」 「じゃあ、当日朝に出発しても余裕だね」 「そうだな。当日……日曜の朝八時半に出発、くらいの予定でいようか」 いいかな? と聞いた父に、母と妹もうなずいた。 それじゃあ、と母が言う。 「当日までに、いろいろやっておかないとね。あんたたちも、学校は休んでいいから、身の回りのものとかちゃんと整理しておきなさい。いらないものはすぐゴミに出せるように、まとめておきなさいよ」 シュウと妹は「はあい」と返事をした。 「じゃ、今から」 と、シュウは自分の部屋に向かう。 身辺整理は大変そうだ。 どれくらい時間が掛かるかわからない。早いうちから始めておかなければ。 妹も、シュウのあとをついてきた。 父と母はリビングに残って、何やら話し合いを始めたようだった。 大人はやっぱり、こういうことになると、自分たちよりもいろいろ話し合わなければいけないことがあるのだろう。
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