1.自殺支援制度

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「日記とか、処分しとかなきゃ」と妹が呟いた。 「それって紙の日記? なら」とシュウは返す。 「公民館で、焚き火やるよな、今年も」 「うん。紙の日記だから、焚き火には持ってけるけど。でもね。前、友達が焚き火に行ったんだけどさ。漫画とかイラストとか描いてたのね、その子。それまでに描いたやつぜんぶ持ってって焚き火に放り込んだら、一枚うまく燃えなかったのが、ふわーっと飛んでっちゃってさ。どっかに飛んでっちゃって。それで、結局見つからなかったんだって。心残りだったろうなあ」 「ははは」 「だから、焚き火はちょっとヤかも。破いて水張ったタッパーに漬けといて、ドロドロになったら台所の三角コーナーに流そうかなって」 「なるほど。いいかもな」 そこで会話を終え、シュウは妹と別れて自分の部屋に入った。 狭い部屋の中をざっと見回して、シュウは考える。 どうしようかな、身辺整理。自分は日記はつけていないけど……。 未クリアのゲームは最後までやっときたい。 お気に入りの漫画を読み返したい。 そうしたあとでゲームも漫画も売っ払って、そのお金でちょっといいものでも食べに行くとか。 ベッドマットの下にある本は、山か川にでも捨てに行こうか。 月曜発売の週刊漫画雑誌は、早売りの店に行けばたぶん週末に手に入るが、続きが気になる連載漫画を読むか読まないかは……迷うところだ。 シュウは、ノートを引っぱり出して白いページを開き、ペンを持った。 計画を立てよう。 この一週間で。 次の日曜日の、朝八時半までに。 やるべきことを、ぜんぶ残らずできるようにしておかないと。
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