5.アラーム

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シュウは、なんだか妙に気まずくなって、目を伏せた。 「……島雨さん。ハンバーガー、食べないんですか?」 「……ああ」 言われて思い出したように、島雨は、ようやくトレーの上の海老カツバーガーに手を伸ばした。 「海老カツバーガー、好きなんですか?」 「まあね」 「冷めちゃったんじゃないですか? それ。……新しいの、取ってきます?」 「いや、別に」 「でも……」 もったいない。どうせなら、作りたてのあったかいバーガーを食べればいいのに。 これが最後の食事なのだから。 「僕は……何かもうちょっと、取ってきますね」 そう言って、シュウは席を立った。 甘いチュロスを完食したら、今度はもうちょっとちゃんとした食事がしたくなった。 カウンターの前でしばし迷って、注文する。 最後の食事――ということを考えると、どうしても普段以上に悩んでしまったが、最終的にはカレーライスに落ち着いた。 何を食べるか迷ったときは、カレーを選んでおけばだいたい間違いないと思う。 席に戻ってくると、島雨はすでに海老カツバーガーとクラムチャウダーを食べ終えて、ぼんやりとイルミネーションを眺めていた。 トレーをテーブルに置いて、シュウは席に着く。 島雨が、振り返って「おかえり」と言った。 ただいま、と返すのも何か変な気がして、シュウは黙ったまま、プラスティックのスプーンでカレーとライスの境界線をかき混ぜた。 そうして、二、三口カレーを食べたあと、シュウはふと顔を上げた。 「島雨さんは……このあと、どうするんですか?」 「どう、って?」 「え? いや。……アトラクション」 それ以外に何があるというのだろう。 わかりきったことをわざわざ聞き返されて、シュウは少し腹が立った。
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