5.アラーム

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「もう、閉園まであんまり時間もないし。島雨さんは、何を選ぶのかなって……」 「俺は、何も選ぶつもりはないよ」 「……え?」 思わぬ答えに、シュウは耳を疑った。 アトラクションを「何も選ぶつもりはない」? そんなわけにはいかないだろうに。 第一、それなら、なんのためにここへ来たのかわからないじゃないか。 島雨はいったい、何を考えているのだろう。 怪訝に思いつつ、シュウは黙々とカレーライスを口に運んだ。 一口一口、味わって、噛みしめて、ゆっくりと食べた。 しかし、そうやって時間を掛けて食べたのに、シュウのカレーの皿が空になっても、島雨はまだ動こうとしなかった。 ――本当に、アトラクションを選ばないつもりなんだろうか。 (もし、最後までアトラクションを選ばずにいたら……どうなるんだ?) 疑問を抱きながら、シュウもまた、島雨の向かいで席を立たずにいた。 閉園時刻が、各アトラクションの最終受付時刻が、迫っているのに。 もうすでに最終受付時刻を過ぎたアトラクションもあるだろう。 ここでぐずぐずしていればしているだけ、アトラクションの選択肢は狭まっていくのだ。 早く、自分のためのアトラクションを選ばないと……そうしないと、この遊園地に来た意味も甲斐もない。 それは、わかっているのに。 なのに、ここにきて。 どのアトラクションがいいか、考えても考えても決まらない。 考えれば考えるほど、どうするべきかわからなくなっていく。 時間はどんどん過ぎていった。 そうして。 シュウがアトラクションを決められないまま、やがてまた時報が響いた。
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