5.アラーム

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『夜、十一時になりました……夜、十一時になりました……。当遊園地は、あと一時間で閉園いたします。……つきましては、この時間帯限定のアトラクション【最終列車】が運行されますので、まだお手元にチケットのあるお客さまは、ぜひともご利用ください。 ……繰り返します。繰り返します。……これより、この時間帯限定のアトラクションが運行されます。アトラクション名は【最終列車】、【最終列車】でございます。……まだお手元にチケットのあるお客さまは、ぜひともこの【最終列車】をご利用ください……』 そのアナウンスが終わると同時に、フードコートの外で、拡声器を構えた死神姿の従業員が、辺り一帯に向かって呼びかけた。 『えー、先ほどのアナウンスにありました【最終列車】をご利用になるお客さまは、こちらにお集まりくださーい! これより、アトラクションの場所までご案内いたしまーす! 【最終列車】はチケット一枚からご利用できるアトラクションですので、お手元にチケットが一枚でも残っている方、まだアトラクションがお決まりでない方は、ぜひともこの【最終列車】をご利用くださーい……!』 従業員の黒いローブに、イルミネーションの光がてらてらと滲む。 鎌の刃もまた、数秒ごとにゆっくりと移り変わるその色を、より鮮やかに映し取っていた。 「……行くか」 溜め息交じりに、島雨が立ち上がった。
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