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シュウは「え?」と思わず腰を浮かせる。
「行くって……【最終列車】ってやつに、乗るんですか?」
アトラクションは選ばないんじゃ?
シュウがそう目で問うと、島雨は、小さくうなずいて言った。
「何も選ばない――……選んじゃいないよ。……ただ。この期に及んで自分でアトラクションを選ばないやつは、【最終列車】とやらに乗るように――って。そういうことだろうからね」
そして、うなずいた顔をわずかにうつむけたまま、島雨は、
「――選んだことに、されてたまるか」
と、低く吐き捨てた。
いまいましげに震えるその声と、依然として涼しげな表情が、あまりにも不釣り合いで。
それはまるで、腹話術か下手なアテレコでも見ているかのようだった。
シュウは、自分も腰を上げ、島雨のあとに続いて歩き出した。
(……まあ、いいや。僕もアトラクションが決まらないことだし。この際、その【最終列車】ってやつで)
パンフレットにも載っていないアトラクションだったし、どんな内容のアトラクションなのかもよくわからないが。
(――いい死に方できるアトラクションだといいな)
そんなことを思いながら、シュウは色とりどりのイルミネーションの中を歩み、死神姿の従業員のもとへと向かった。
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