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――この世には、男女の性の違いとともに先天性の性別がある。解りやすく言えば、血液型そのものだ。表からは解らないが、調べさえすれば解る。それは『第二性オメガ判定』と呼び、三種類の『オメガ判定』が加わった六つの性別に別けられていた。
ひとつは『ベータ性』。判定される人数も一番多く、極々一般的とされている。言ってしまえば、ただの人だ。
もうひとつは『アルファ性』。これは少人数が有する、エリートの証である。生まれ落ちたそのときから、特別だと決まっているのだ。誰もが無意識に惹かれるくらいに。
最後のひとつは『オメガ性』。判定される人数はアルファよりもさらに少なく、希少種とも言われていたりする。がしかし、実は一番厄介だとも言われているのだ。そう言われてしまうのは、『オメガ』にしかない特性にあった。――まず、オメガ性を持つものは体格が小さめだ。だからオレの背が低めなのも、いくら筋肉をつけようともついてくれないのも第二性に起因する。……はずだ。
オメガ女性は女性ホルモンが多く分泌されてより女性らしい肉付き――要は胸もお尻も大きい体型になり、オメガ男性には直腸の奥に子宮と同じ機能がある生殖器があった。その名のとおりに『オメガ式子宮』と呼ばれており、男性でも妊娠が可能なのだ。実際問題、妊娠、出産した人はきちんといる。オメガ男性のインタビューやブログなどは探せばいくらでもあるしな。人体の不思議だと言われればそれまでであるが、そういう躯の構造であるので受け入れるしかないだろう。生活するのになんら不便はないし。いや、人によっては違和感や妊娠してしまうんじゃないかという恐怖を抱くけれども。まあ、妊娠に関しては避妊薬――低用量ピルがあるので恐怖は薄まるかな。飲み忘れると大変だけど。
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