彼は女の子みたいに可愛い顔して私に

バスケ部で身長が高く髪も短い。
何ならその辺の男子よりも髪は短くしているくらい。
肩幅もいかり肩だから、細いけどきっちりある。
目が鋭く切れ長な奥二重。

男装、というカテゴリーの中でだけでいったら、確かにそこそこの自信はあった。

制服を着てなきゃ時々……いや、制服着てると二度見はしょっちゅう。私服だと女子トイレでは軽い悲鳴もたまに有る。
弁解するのに声を発して漸く女だと納得してくれる始末。

「お前も優勝賞品、映画のチケット？」

で、今話し掛けてきてる奴は女装コンテストの優勝者。
いつも私の事をおとこ女とバカにする。
それが本当に腹立たしい。

そりゃあ、このおんな男ときたら、くりっとした二重に小さな唇。顔は私よりも女の子みたいに可愛い。
本人は華奢な撫で肩を気にしているらしいけど、私にしてみれば何て羨ましい……といつも思う。