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「……まだ通じない?」
「……ごめん、全く分からない。って言うか、何よそれ」
あまりにも真剣に訳分かんない事やってるから、つい笑みが漏れる。
「お前、今の笑った顔可愛かった」
「は?何それ。おちょくってんの?」
どっちかっていうと可愛いのはあんただよ。多分彼が女装したのと、素のままの私とが並んだら間違いなくナンパされるのは彼。
「おっかしぃなぁ。何で通じない?」
「いや、通じる訳無くない?」
本当に、何を意図しているのかが全く分からない。
「……今、二人で一緒に花火見てるよな?」
「……見てますね?で?」
いい加減、眉間にシワが寄りそうだ。
「いや、だから、さぁ。ほらオモイが通じるっていうじゃん」
私達の学校には文化祭に関するジンクスが幾つか有る。
その内の一つ、断トツの効果が有るらしいのが『後夜祭の花火を好きな人と一緒に見ると想いが通じる』だった。
「ばか。オモイってことは好きっていう気持ちってことでしょ?」
ふふっと、バカなこと言う私の想い人の言葉に足元を見ながら笑った。
「え?お前には通じないの?おっかしぃなぁ……俺にはお前の想いこんなに通じてるのに」
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