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-Hidaka side-
男たちの間で密かに美人と言われている孤高の女神こと、宇野実彩子。
だけど、誰も女神と話したことはない。
いつも必要以外のことは話さず、一緒にいるのは伊藤だけ。
彼女の雰囲気はどこか人を寄せ付けないような近づきがたいものがある。
「「「「きゃー!!!」」」」
西島がシュートを決めた直後、ギャラリーから上がる黄色い歓声。
西島は部の中でも飛び抜けて高い人気を誇っている。
まだ一年なのにほんとすげーよな笑
日「ナイシュー!西島!」
西「お、おう。」
今日の西島はどこかおかしい。
いつものあの無駄に元気な西島がどこかに行っている。
いつもはシュートを決めた後すぐにどちらからともなく近づいてハイタッチをするのに、今日はシュートを決めてもぼーっとして空を眺めていた。
-西島くんお疲れー!
-めっちゃかっこよかったよー
-日高くんもあのパス、最高に上手だった!
-はい、これ飲み物。よかったら飲んで?
日「お、まじで?よかったー。」
日「おぉ、サンキュー!」
練習が終わり帰ろうとすると、そう声をかけられる。
いつもいつも、ほんと女の子ってすげーよな。
-…にし、じまくん?
-これのま、ない…?
女の子の声に応えない西島。
やっぱりおかしい。いつもは対応には困っているけどちゃんと返事を返しているのに。
そう思い西島の方を見てみると、また空を見上げていた。
いや、校舎を見てるのか?はっきりとは分からなかったけど視線は上を向いていた。
日「おいにっしま。お前今日朝から変だぞ。なんかあったのか?」
西「…。」
俺の声が聞こえていないのかずっと上を見上げている西島。
日「おい。…「日高わりぃ。おれちょっと用事思い出した。先帰ってて。」
日「え。ちょ…!」
西島はおれの言葉を遮りそう言い残すと、走ってどこかへ行ってしまった。
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